インドネシアの税金(インドネシアの所得税)
税率は最大35%に、企業のサポート体制と契約内容の確認がカギに
インドネシアでの就職や転職を検討する際、給与や福利厚生と並んで重要なポイントとなるのが「所得税」の取り扱いです。特に外国人労働者にとっては、現地の税制を正しく理解し、納税義務を果たすことが、安心して働くための前提条件となります。
インドネシアでは、個人所得税(PPh Orang Pribadi)は累進課税制度が採用されており、年間所得に応じて5%から最大35%までの税率が適用されます。2024年からは、月次の源泉徴収計算において「実効税率(TER)」制度が導入され、扶養家族の有無などに応じて、月ごとの税率が自動的に決まる仕組みとなりました。
たとえば、配偶者や扶養家族がいない「カテゴリーA」の場合、月収540万ルピア(約48,000円)までは非課税となり、それを超える所得に対して段階的に税率が上がっていきます。年間所得が1.4億ルピア(約124万円)を超えると、最大34〜35%の税率が適用されます。
課税収入 | 税率 |
0 ~ 54,000,000 | 5% |
54,000,001 ~ 250,000,000 | 15% |
250,000,001 ~ 500,000,000 | 25% |
500,000,001 ~ 5,000,000,000 | 30% |
5,000,000,001 以上 | 35% |
外国人であっても、以下のいずれかに該当する場合は、「居住者」として全世界所得に対して課税されます:
インドネシアに住所を有している
12か月以内に183日を超えて滞在している
滞在の意思を持って居住している
一方、これらの条件を満たさない場合は「非居住者」として扱われ、インドネシア国内で得た所得に対して一律20%の源泉税が課税されます。
実務上は、企業が毎月の給与から源泉徴収を行い、税務当局に納付するのが一般的です。年末には確定申告(SPT Tahunan)を行い、過不足があれば追加納付または還付が行われます。多くの企業では、外国人社員に対しても納税手続きのサポートを提供しており、安心して働ける体制が整っています。
ただし、採用時に提示される給与額が「税引き前(グロス)」か「税引き後(ネット)」かを確認することは非常に重要です。企業によって提示方法が異なるため、手取り額に大きな差が出る可能性があります。
インドネシアで働く際には、所得税の仕組みと税率、企業のサポート体制を事前に確認することが重要です。特に外国人の場合は、居住者・非居住者の区分や、給与の支給形態によって納税義務が大きく変わるため、雇用契約書や給与明細の内容をしっかりと把握しておくことが、安心して働くための第一歩となるでしょう。
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